イタリアの櫻子たち  Luccaから

私が現在すんでいるのはPisaですが、そこから電車で約20分でLuccaの街にたどり着きます。

城壁で囲われた小さな古都 Lucca。25度を超える、雲一つない快晴の休日に訪れたためか、街は太陽を浴びようと繰り出す人々で賑わっていました。一時間強で、Luccaの中心地を囲む城壁をぐるりと一周してしまい、改めてその街の小ささを感じながらも、その小ささがまた大変かわいらしく、愛しく思えるほど、Luccaの街は美しいものでした。


 

中心街を一回りし終わると、Luccaの櫻子たちを管理してくださっているGianluca Pardini先生に会いに行くため、ルッカ・イタリア料理学校(Scuola di Cucina)に向かいました。

Scuola di Cucinaの校長Gianluca先生は、過去に日本で仕事をされた事もあり、またイタリア料理を勉強するため留学する多数の日本人生徒を学校で受け入れている為、日本と関係が深く、本会の会長、副会長とも長年のおつきあいをもたれていました。
毎年、定期的に日本に訪れては、イタリアレストラン(リストランテ文流)でその腕を振るっていらっしゃいます。

料理学校にいく道程は、両側が大木に包まれた美しい小道で、静寂の中に春の小鳥たちの鳴声が響いていました。所々に見える、オリーブ畑、果樹園、それらの手入れされた畑は、暖かい日の光を浴びて健康的に輝いていました。
おそらく道際にならぶ大きな家々は、中世の富豪たちの別荘地だったと思われますが、それらの家を現在も活用しながら人々が暮らし、畑の手入れなどを行っているようでした。
遠くの丘に見える白く色づいた木々は、イタリアの櫻です。離れてみれば、それは日本の山桜のようにも見えますが、こちらの櫻は、さくらんぼがなる櫻の木です。

 

更に小さな道に入ると、両サイドは煉瓦で作られた高い壁になり、強い日差しも遮られて、涼しさの中で中世にタイムスリップしたかのような気分になります。その壁が終った所、つまり小道の終わりに料理学校があります。

視界が開けると、目の前にはチューリップ畑が、その先の斜面に作られた畑では農家が仕事に勤しみ、目を凝らすとそこにはロバもいて、思わず駆け寄ってしまいました。そのあまりに美しい光景を目にして、しばし呆然としてしまったほどでした。
また、学校へのエントランスまでの道の両サイドには、まだ小さな櫻子たちが、きちんと整列して来客者を迎えてくれていて、イタリアの暖かい日を浴びて、ピンク色の花が咲いていました。

 




 

この日、私はGianluca先生のお言葉に甘えて、学校の生徒さんたちに混じって夕ご飯をご一緒させて頂けることになりました。日本の生徒さんたちもたくさんいらっしゃり、みなさんイタリア料理や語学の勉強でお忙しいなかにも関わらず、突然の訪問客である私を快く迎えて下さり、とてもありがたい思いでした。

夕ご飯の料理のお手伝いをさせていただきながら、イタリアの伝統料理も色々と教わる事ができ、勉強になる時間をすごさせていただきました。
特に、イタリアの伝統菓子であるDolce di paneは、名前の通り”パンのケーキ”ですが、イタリアでは残ったパンを使ってそれをケーキにするそうです。レモンやラムレーズンなどのテイストがしみ込んだDolce di Paneを食事の最後に堪能させていただきました。

学校には、日本人以外にも、ギリシャ、イタリアから生徒さんがいらっしゃっており、様々な経験や選択を経た皆さんと囲む食事の時間は、あっという間に楽しくすぎてしまって、気付くと終電の時間が迫り、Pisaへの帰路に慌てて着きました。
GIanluca先生には、お忙しい中最後まで大変親切にしていただき、心から感謝申し上げます。また、Scuolaでイタリア料理を学ぶ皆さんと、イタリアや日本、または他の国のどこかでいつか会えることを楽しみにしながら、Luccaを後にしました。

Luccaの穏やかでやわらかい春の日差しを浴びながら、 櫻たちが元気に育っていたことが嬉しく、またその櫻を訪れることで、そこに暮らす人々と出会う事ができることが、さらに一層、櫻がそこに咲いていることの意味をもたらしてくれるのだと思えました。

今回は、料理学校に植えられた櫻子たちに会いに行きましたが、実はLuccaには、更に街の中心地、mura(城壁)にも日本の櫻の木が植樹されています。
この櫻子たちにつきましては、また改めてこちらで紹介させていただきますので、楽しみにして頂ければと思います。

Gianluca先生、お忙しい中、快く迎えて下さり、本当にありがとうございました。
Grazie mille. La ringrazio di cuore.

沢辺


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